下北沢とフリーペーパー

TBSラジオのストリーム、佐々木敦さんが紹介してたdetuneって素晴らしい感じがする。知らなかったら絶対に女の子だと思うような歌声。

■ブログ:でちゅーんだので http://d.hatena.ne.jp/detune/

わ・を・ん

わ・を・ん


世田谷区選挙

ストリームの冒頭でパーソナリティの小西克哉さんが世田谷区長選挙の結果に憤慨していた。現職の熊本氏が当選したことで、道路計画の推進はほぼ決定的。ただ、同時に行われた世田谷区議会議員選挙では自民党が大敗しており、またSave the 下北沢が強烈にプッシュしていた木下泰之議員は4330票を獲得して当選した。(ちなみに参考までにいうと、渋谷区はトップでも2826票である。)仲俣暁生さんがブログに書いているように「単純計算でいけば熊本批判票は15万票を超えている。また熊本支持票は全有権者(68万1394人)の17%に満たない」。熊本区長の発言力はそれほど圧倒的なものではない。区議会での論戦によって、再開発案が少しでも良い方向に向かうことに期待したい。
■海難記 http://d.hatena.ne.jp/solar/20070422#p1


18時過ぎからはSave the 下北沢共同代表の下平憲治さんがTOKYO FMに出演していて、なんだか可愛らしい感じだった。ラジオでは、フラワーカンパニーズの「下北沢へ出かけよう」が軽やかに流れる。
■S.O.S http://soundofshimokitazawa.com/release_10.html


『Pen』も買った。特集は「保存版 街の案内人と歩く、東京マップ2007」。それぞれの案内人のカラーを出すことで、東京のさまざまな顔を見せる、という演出になっている。下北沢はミュージシャンであり翻訳家でもある中川五郎さんが案内人で、シネマアートンなども大々的にとりあげられているのだが、とにかく写真がうまいなあと思った(写真クレジットは山本雷太)。ちなみに、ここでも再開発の話は触れられている。

Pen (ペン) 2007年 5/1号 [雑誌]

Pen (ペン) 2007年 5/1号 [雑誌]

「場」としてのフリーペーパー

しかしどうなのか実際。これだけいろんなメディアで再開発の話が取り上げられており、そして多くの人が印象的には反対であるにも関わらず、計画は進んでいく。たしかに選挙では対抗馬を一本化できなかったのが最大の敗因に違いないけれども、再開発を批判する言説の機能にも問題があるのではないか。いろいろなメディアでの下北沢の発言をみたときに、どうも散発的な印象を受ける。下北沢の外側で発言する人は「街が変わるのは悲しいけれど……」と語り、内部で発言する人はその怒りと「反対」の身振りだけが外から認知される。もっと下北沢の内と外とをつなぐような、情報が集約されるハブ(寄港地)があれば……。


下北沢経済新聞というサイトがあるにはあるのだが、「ビジネス&カルチャーニュース」に特化したものなので、私のイメージするハブとはちょっと方向性が異なる。またmixiのコミュなどでも情報は入手できるのだが、いずれも玉石混淆で、結局そのほとんどはその場かぎりで消費されて終わる。やはり情報を集積して力のある言説を形作るためには、編集の手を加える必要を感じる。

■下北沢経済新聞 http://shimokita.keizai.biz/


ところで、このブログで一ヵ月くらい下北沢に関することを書いてきて、やはり個人のブログには限界があるなと思った。情報のハブとしてはすこぶる物足りない。となると、やはり雑誌、もしくは雑誌的な他のメディアが必要になるわけだが、私自身には下北沢に特化した雑誌やフリーペーパーを創る余裕がない。だから誰かつくってくれないかな、などと他人任せ的に考えてしまったりもする。ひどい話だけど、しょうがない。


現在、フリーペーパーは大きく分けて二種類あり、ひとつは『R25』に象徴されるような情報誌であり、もうひとつは同人誌的なつくりの自己表現媒体である。両者はまったくちがうものなので分けて考えたほうがいいと思う。そして、今下北沢に必要なのは、情報誌的なフリーペーパーでもなく、自己表現的なフリーペーパーでもなく、いってみればその両者の中間に位置するような、「場」としてのフリーペーパーである。いや、フリーペーパーでなくてもメディアであればよい。そこでは政治についても文化についても語られる。タブーなテーマはない。しかしながらまったくの混沌でもない。しっかりとした編集の手が入ることで、それはエッジの効いた媒体となり、強力な言説が形作られていく可能性を秘めるのである。