救済されるべき存在?

週刊読書人」巻頭特集は広田照幸浅野智彦の対談。すべてを「教育問題」に収斂してしまうことへの危機感や、若者の人間関係はけっして希薄化しておらずむしろ濃密化しているといった指摘も面白いが、もっとも興味深いのは「若者論」をめぐるオトナたちの態度について。90年代の「若者バッシング」が今、「気の毒な若者像」という方向に向かっているという指摘。

実際に非正規雇用の問題を考えると、システム変容のしわ寄せが若者に行っていますから。バッシングの後は、救済されるべき存在としての若者ですか(笑)。

なるほど、年始からの朝日新聞の「ロスト・ジェネレーション」企画もそういう目線によって書かれたものかもしれない。



ほかに、これもゴウダくんが買ってきた1月27日付の「図書新聞」一面は、市野川容孝『社会』(岩波思考のフロンティアシリーズ)について大澤真幸が書いた記事。イッチーはずっと「社会的なるもの」について考えてきた人で、それがようやくまとまったらしい。

また、研究者の金子靖さんによる村上春樹訳『グレート・ギャツビー』の解説もたいへん面白い。隠喩と直喩の訳し方の違い、フィッツジェラルドのリズムを日本語に移植する際の「環境設定」づくりなど。翻訳に技術と感性は不可欠だ。『グレート・ギャツビー』愛蔵版をオカミから借りたので読んでみようと思った。