「ニューヨーカー」の時代

少し前の本になるが、常盤新平の『「ニューヨーカー」の時代』がめちゃめちゃ面白い。


「ニューヨーカー」の時代

「ニューヨーカー」の時代


冒頭、雑誌「ニューヨーカー」をはじめて渋谷の百軒店の古本屋で手にした話から、一気に1920年代のニューヨークへ引き込まれる。フィッツジェラルド夫妻、ナイトクラブ、市長ジェイムズ・J・ウォーカーの台頭と失脚、そして大恐慌とジャズ・エージの終焉。


とりあえず、以下の記述だけメモしておきたい。1992年、3代目編集長ロバート・ゴドリーブの時代が終わり、女性編集者ティナ・ブラウンが4代目の編集長についたとき、「ニューヨーカー」は変貌する。

「ニューヨーカー」は活字と漫画の週刊誌だったが、いまや写真も掲載され、カラーも使用されて、ぐっと現代風になっている。ゴトリーブまでの「ニューヨーカー」はおとなしい週刊誌だったのが、ティナ・ブラウンによってにぎやかな、ゴシップの多い雑誌に変った。
「ニューヨーカー」は変らない雑誌としばしば言われてきた。私もそのように見てきたし、変らないことを珍重してきた。しかし、仔細に見れば、「ニューヨーカー」もまた「変化」を経てきた。変らない雑誌などありえない。読者は、愛読する雑誌が変らないことを望んでいる。「ニューヨーカー」は変ることのない雑誌だと読者は思いつづけてきた。これは読者の側の誤解である。