荻上チキ『ウェブ炎上』


今週日曜深夜放送「文化系トークラジオLife」のゲスト、荻上チキさんの『ウェブ炎上』を読みました。理路整然としながら愛嬌のある文章(カワイイ)、豊富な事例(お買い得)、わかりやすい喩え話(のび太とか)、などなど。ウェブを良いとか悪いとか道徳的に断罪するのではなく、アーキテクチャ(環境技術的な力)に目を向けることでゆるやかに良い場にしていこうという発想は、説得力がありました*1


この本で解説されている、似た者同士で同調意識を高めていく「エコーチェンバー」という現象は、実際にブログやSNSで目にすることも多いような気がします。印象にすぎませんが、それこそ5年前と比べても、エコーチェンバーによって全能感*2を得ることは容易くなっているような。chalrieがたまに使う「島宇宙」という言葉ともかなり関係していると思うので、日曜の放送ではこのあたりをぜひ議論してほしいです。


荻上チキさんのサイト
http://torakare.com/
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/


ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

ウェブ炎上―ネット群集の暴走と可能性 (ちくま新書)

*1:「批判の語彙」や「可視化」への着目なんかも素晴らしいです。正直なところ「2ちゃんねる」への見方も少し変わりました。

*2:「私」をいくらでも肯定できる世界が構築されてしまい、そこから抜けられなくなった状況における、「私=正義」「私=世界」といった感覚。これはチキさんの言葉ではなくて、米澤穂信が対談で使っていた言葉を援用しました。