Bon Voyage !


なべっちが久々にやってくる。「仕事が早く終わったのでお邪魔していいですか」ってもちろんOK。寝てない上に仕事もたまっているが全部うっちゃった。彼はもうすぐアフリカ大陸某所に数ヶ月間の出張に行ってしまい、次いつ会えるかわからないのだ。


なべっちは以前この松亭に住んでいて、彼と入れ替わりに入った私はいろいろ世話になった。とはいえじっくり話すこともなく疎遠になっていたところ、去年、ノラ氏が彼とふたりで東欧旅行したのがきっかけでまたなにかと連絡をとるようになり、一度サッカーの試合を観にいった帰り、新宿の思い出横丁で飲んだのが決定的だった。ひょんなことで一万円札が手に入り、よっしゃこれで今日は飲もうとふたりでいきりたってビールを飲みまくったのである。しまいに店から追い出されるまで飲んだ(彼は底なしであった)。楽しかった。


なんというか、なべっちは人生にちゃんと目標をもって臨んでいる人である。そのまっすぐな感じが好ましい、と私は思っていた。が同時に、正直に言うと、私のようないい加減な人間は、その「まっすぐ」さに気後れするところもあった。でも、あの日新宿で飲んだとき(もう実はどんな話をしたかほとんど忘れてしまったが)、「まっすぐ」などと型にはめられない魅力を彼が持っていることにはじめて気づいたのだった。(私には人を観る目がないのだ。)


なべっちはベルギービール通でもあり、この日はレフ・ブラウンというビールを持ってきてくれた。めちゃめちゃうまかった。贅沢な芳香を感じた。ちなみに彼のお気に入りはレフ・ブロンド。近くで死者が出るほどの紛争も起きているらしいのだが、とにかく無事にアフリカから戻って来てくれることを祈る。