第三の嘘


眠れないことはもはやあきらめる。


アゴタ・クリストフの『悪童日記』『ふたりの証拠』につづく『第三の嘘』を読む。クリストフは、1956年のハンガリー動乱の折りに亡命。五十歳を過ぎてデビューした作家。クラウスとリュカ、実在するかどうかわからないふたりの兄弟をめぐって物語は「再構成」されてゆく。この第三作は、ありていに言えば「真実とは何か」をテーマにしたものと思われる。記録の調査、歴史的な検証、そういったことではどうあってもその核心にまでは踏み込めない「真実」をとらえるには、やはり、フィクション(嘘)が必要なのだ。


「ちょっとでもまじめに考えると、生きていることを喜ぶ気にはなれないな」
私の兄弟は、杖で、私のあごを下から押し上げる。
「考えるな。それより、見ろ! こんなに美しい空を見たことがあるか?」


95年の来日時に佐藤亜紀が『鳩よ!』(95年8月号)でロングインタビューを行っているらしい。読みたい。そういえば佐藤亜紀さんは8月にジュンク堂仲俣暁生さんと対談するとか。超楽しみ!

http://d.hatena.ne.jp/solar/20070629


 

第三の嘘 (ハヤカワepi文庫)

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