世田谷区長選公開討論会


2007年4月22日(日)、つまりは一週間後に迫った世田谷区長選。13日に行われた公開討論会の模様を以下のサイトで観ることができた。気になる下北沢の再開発問題については、後半の13分くらいから。約7分ほどの短い討論ながら、3人の候補者の態度はかなり鮮明になった。

http://www.janjan.jp/election/0704/0704120615/1.php


■熊本のりゆき 75歳、無所属(自民・公明推薦)、現世田谷区長
再開発推進

■鈴木よしひろ 46歳、無所属、公認会計士
再開発中止。世田谷区独自のプランをつくる

■水間けんいち 66歳、無所属(民主推薦)、元世田谷区助役
→いったん中止したのち、再検討



熊本現区長はやはり再開発推進の理由として「防災」「安心・安全」をうたっているが、それに対する鈴木よしひろ候補の「『防災』は区民に対するめくらましだ」発言が光る。はっきりものを言う人だなあ。水間候補はバランスのとれた発言をしたつもりだったのだろうが、実際には再開発を「中止」にすることはけっしてないだろうと、両候補からつっこまれていた。詳しくは、下北沢在住の音楽ライター志田歩さんのブログに臨場感のあるレポートが載っている。

http://shidaayumi.exblog.jp/m2007-04-01/#5162128


追記

ここ最近、選挙がつづいているのでいろんな代議士たちの発言を耳にするが、「安心・安全」という甘い言葉を十年一日のように繰り返す政治家は、ほとんど思考停止してると思う。街に対するなんらのリアリティもないままに、「安心・安全のまちづくり」とか言われて、小さい子供を抱えた人やなんかはなんとなく「そうか」と思ってしまうかもしれないけど、それはやはり“まやかし”だろう。“実際に”どのような街が安全であるのか。大きな道路がその街の生成の歴史を無視していきなりどかんと通されるような街のいったいどこが安全であるのか。排気ガスと騒音と交通事故の危機にさらされてどこが安心であるというのか。きちんと説明できる政治家がいたらぜひ話を聴いてみたい。大きなものはなんであれ一見安心であるかのように見えるが、実は、小さなものの積み重ねこそが安心のネットワークをつくるのではないか。


「下北沢」と聴いたときに、若者にあふれた南口の喧騒をほとんどの人はイメージするだろうが、実際にこの街を支えているのは、その周辺をとりまいている住宅街であり、そこに生きて暮らしている人たちだと私は思う。路地がいい、路地はすばらしい、とノスタルジックに強調するのもまた一種の思考停止だろうが、とはいえ実際に今現在、下北沢の路地で生成されている人と人との信頼感のようなものこそが、街に安心をもたらす基礎的な条件になっているのではないかと私は考える。いずれにしても、街で営まれる生活に対する具体的なリアリティを抜きに平べったい言葉で話をする政治家を見ると、そしてそれによって運命が左右されるのだと思うと、冗談抜きにぞっと背筋に冷たいものが走る。


追記の追記

私はこの先も下北沢の近くに住みつづけるかどうかを考えていて、そうすると、年齢的にもそろそろ家庭を築いたり、なんてことも考えたりする。ひとりであればどんな街でも生きていけると思うのだが、ある程度、居を構えて、それなりに根をはりたい、と思うと、それにふさわしい街はどこだろうかと考えざるをえない。選挙でいきなり世の中のぜんぶが変わるとは思わないが、少しでも変わるものがあるなら私は投票にいく。そして、選挙で変わるものは、実はけっこう大きいのである。たのむよ世田谷区。まじで。