そして僕は恋をする

アルノー・デプレシャン「そして僕は恋をする」(1996)を観る。舞台はパリ。博士論文が書けず講師の位置に甘んじている青年と友人や恋人たちの織りなすドラマ。基本的には洒脱な会話がテンポよく続いていく感じだから、フランス語が理解できたら、きっともっと楽しめるのだろう。

主人公たちは、今さら後戻りもできず、先も見えず、という微妙な年頃である。彼や彼女たちはあやうい。立っている場所が。自分自身の内側に拠って立つものがない彼らにとって「恋」とは、なんだろうか。エゴイスティックに生きてゆく彼や彼女は、しかし、他者との不安定な交わりを重ねていった末に、ある地点にたどりつく。

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