『インシテミル』に震えた夜
下北沢の喫茶店でナカマタさんと打合せ。前夜、米澤穂信の『インシテミル』を一気読みしてしまったのでその話で花が咲いた。僕はミステリーの免疫がないので本当に怖かったのだが、「怖い」と思う時点で作家に負けてるよね、と指摘され、おっしゃるとおり、脱帽です。でも「怖い」と震える一方で批評的な観察もしているわけだから、〈ベタ〉と〈メタ〉、一粒で二度オイシイ読み方なのだ。(負け惜しみ)
会計の際にカウンターにいた女性に呼び止められる。わ、久しぶりー、と驚いてみせたものの、実は先刻からこちらもその妖艶な存在に気づいてはいて、どう声をかけたものか、タイミングを見計らっていたのだ。なのに先を越された。先を越されたことで後手を踏んだ。また今度飲みましょうね、とさらりとあしらわれて手を振って、考えてみれば僕は彼女の連絡先さえ知らない。
【メモ】(帰宅後、同居人と)パーソナルメディア 時間、空間、人 運動と仙人、95年 団地、郊外
【教訓】(ありえなかった記憶の捏造)美女とはサシで飲みにいくべからず。
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/08/30
- メディア: 単行本
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