『インシテミル』に震えた夜


下北沢の喫茶店でナカマタさんと打合せ。前夜、米澤穂信の『インシテミル』を一気読みしてしまったのでその話で花が咲いた。僕はミステリーの免疫がないので本当に怖かったのだが、「怖い」と思う時点で作家に負けてるよね、と指摘され、おっしゃるとおり、脱帽です。でも「怖い」と震える一方で批評的な観察もしているわけだから、〈ベタ〉と〈メタ〉、一粒で二度オイシイ読み方なのだ。(負け惜しみ)


会計の際にカウンターにいた女性に呼び止められる。わ、久しぶりー、と驚いてみせたものの、実は先刻からこちらもその妖艶な存在に気づいてはいて、どう声をかけたものか、タイミングを見計らっていたのだ。なのに先を越された。先を越されたことで後手を踏んだ。また今度飲みましょうね、とさらりとあしらわれて手を振って、考えてみれば僕は彼女の連絡先さえ知らない。


【メモ】(帰宅後、同居人と)パーソナルメディア  時間、空間、人  運動と仙人、95年  団地、郊外

【教訓】(ありえなかった記憶の捏造)美女とはサシで飲みにいくべからず。

インシテミル

インシテミル