欲しがらない女

相変わらず忙しい。最近電話でやりとりをしていたデザイン事務所のアシスタント(秘書)さんが、実はとても美人だと判明したのが救いだ。


待ち時間等に、ずいぶん前に文庫になった長嶋有の「サイドカーに犬」(『猛スピードで母は』)を読む。小学生くらいの女の子・薫が主人公で、母親が家出し、残されたダメ父やダメ父が連れてきた愛人の洋子さんとの夏の日々の話。ガンプラとかパックマンの筐体とか、微妙にレトロなアイテムが散りばめられた世界の中で、母と洋子さんと薫という、異なる世代の女たちの姿が淡々と描かれる。洋子さんがくれたテープが「RCサクセション」だったりとか、なんかちょっといいのだ、この感じが。考えてみれば、ここに出てくるアイテムはほとんどすべて「男」のものばかり。それはたぶん、女たちが何も欲しがらないからだ。そして、「欲しがらない女」を描くことで、この作品は「女」の深いところに触れているような感じがする。


猛スピードで母は (文春文庫)

猛スピードで母は (文春文庫)