悪夢(どうでもいい話)

連日の徹夜仕事にひと段落つけ、1〜2日休めるかと思ったら甘かった。朝の8時半に宅急便でゲラが届く。受け取って、ふてくされて、二度寝



悪夢だった。いつの時代だかよくわからないが、松亭の面々は水郷地帯に浮かぶバラック風の船の上に住んでいた。いかにも貧乏である。どうやらオカミだけが小説だか宝クジだかで一山当てて出ていったらしいが、残された我々はこうして今も寄り添って生きているのだ。ゴウダくんがアニメーションの声優オーディションを受けるというのでついていく。(キックは鼻で笑っていた。)しかし、どう考えても自分の声には自信がないので、途中で逃げ出してラジオの収録を見学に行った。

そのラジオは出演者が女性ばかりで(といっても80歳の女性講談師だったりするのだが)華やかな番組だなあ、と思っていると、生放送開始1分前に司会がやってくる。なぜかラリっていて、ひたすら笑っている。毒キノコでも食べたのか。そうこうするうちに番組がはじまってしまう。プロデューサーがなんとか間を持たせようとしたのか「悪いけどキミタチ、校庭を走ってきてくれるかな」と言うので、見学者たちはいっせいに外へ出て走り出したのだった。

ところが悪友が「こんなとこ抜け出そうぜ」と囁く。そこで列をはみ出し、私はその悪友とふたりで走り出したのだが、どんどん殺風景な場所に変わってゆく。どこへいくのだろう。それでもまさにランナーズハイなのか、楽しくなってきて、それはいつしか私と悪友との競争になっていたのだが、私は勝てるだろうと踏んでいたのか、数メートル先を疾走する悪友を見ながら8割ぐらいの力で気を抜いて流していた。やがて急斜面にさしかかり、しかも下は砂利道で、先を走っていた悪友は足を滑らせてずるずると落ちていく。それみたことか、と私は嘲笑して、さあゴールするか、とさらに斜面をひとりで登っていったのだが、それはいつしかロッククライミングのごとくなり、ほとんど垂直にそびえたつ岩壁を、なんとか足場をつくりながら登ってゆく。

そしてついに頂上が見え、左手をそのてっぺんにかけ、えいっ、と思い切り身体全体を引き上げてゴールした、はずだったのだが、なんとその頂上は、どんづまりだった。空がないのである。そこは地の底のようであり、頭がつっかえて私はそこへは登れないのだ。しかも、支えるべき足場はもうない。登ることも降りることももはやできない。どうしてこんなことになってしまったのだろう、と一瞬考えて、ここから落ちたら助かるのだろうか、下の砂利道に激突したとしてどれくらいのダメージを負うだろうか、と考えてみたがもうすべては無駄だという気がした。私は観念して手を離した。すべてが終わる瞬間である。


その瞬間に目が覚めた。なんだこれ。でもマジこわかった。
すみません、どうでもいい話です。