現代日本の小説


ちくまプリマー新書現代日本の小説』を読む。著者の尾崎真理子さんは文芸担当の新聞記者。この20年のあいだに現代日本小説界に起きた出来事を「駆け足」で書いた本だ。メインテーマは「手書き原稿とワープロ原稿の違い」のはずだけど、そちらの論考は思ったほどには発展しなくて、どちらかというと「村上春樹が文学に与えたインパクト」のほうに力が入っているような気がする。


1987年は、よしもとばなな吉本ばなな)が華々しくデビューし、村上春樹の『ノルウェイの森』が空前の大ヒットを飛ばした。そこから新しい20年が始まったのだ、とする説は、文学プロパーのあいだではすでにある程度共有された認識ではある(と思う)。だけれども、その時代、その瞬間の作家たちの“生の声”を取材してきた著者ならではこその臨場感があって、非常に楽しく読ませていただきました。


とりあえず、読みたい本がたくさんできたのは僥倖。(なのかな?)


現代日本の小説 (ちくまプリマー新書)